1) 海山の神 (2008/4/10)


古代人は、国土山川、自然のあらゆる事物に神を見、神を感じた。
海が荒れ、山が鳴動するのもみな神の仕業と信じた。
万葉集には実にさまざまな神がうたわれている。
それらはおおむね記紀の神話体系に見られる人格神と姿なき無名の自然神とに大別される。
海の神・山の神はそうした自然神を代表するものである。

  ありねよし対馬の渡り海中に幣取り向けて早帰り来ね(1-62)

[現代語訳]
対馬海峡の海路で、海神に幣(ぬさ=御幣)を手向けて無事を祈り、一日も早く帰っていらっしゃい。

陸路の旅も道の神、坂の神に敬虔(けいけん=神仏を敬いつつしむさま)な手向けをしたが、
海路にあってもそれは変わらない。危険な海峡は恐ろしい渡りりの神います所と信じられ、
ことのほかねんごろな手向けが必要とされた。だが、海の神はそうした荒々しい側面ばかり
ではない。海の幸をもたらしてくれるという富の神でもあった。

    海神の手に巻き持てる玉故に磯の浦廻に潜きするかも(7-1301)

[現代語訳]
海神が手に手に巻きつけて持っている真珠とわかっていながら、それを採ろうと磯の浦辺で
水に潜っている。

玉(貝類)は、海の神の掌中にあるもの、また海の神の宿るものであった。

・・・・たたなはる青垣山山神の奉る御調と春べは花かざしもち秋たてば黄葉かざせり・・・(1-38)

[現代語訳]
幾重にも重なった青垣のような山々の、その山の神が献る貢物として、春のころは花をかざし
にし、秋になると紅葉をかざしている・・・。

「山神」の語句は万葉集のなかではこの歌一首のみである。しかし、各地にはっそれぞれ信仰
の対象となる山がある。三輪山や大和三山はもとより、越中立山「皇神の領きいます」山であり、
富士山は「日本の大和の国の鎮めともいます神」(3-319)であり、筑波山は「二神の貴き山」
(3-382)であった。山は麓の村々に恵みの水をもたらす。干害には山の神をまつって雨乞い
をする。山の神は、田植えの時期は村里に降りて田の神になるという。四季折々の山の幸も
もたらす。日々の生活において山からうける恩恵は大きい。だから人々は山を神としてまつり、
信仰する。

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[ちょっぴり みちくさ]
   さまざまな神さま・仏さまが日々の生活の中にも、しょっちゅう出てくるのでちと調べてみました。


 神 仏
かみほとけ= ― に病気の平癒を祈る。この世に ― はないものか。
しんぶつ = ― の加護がある。 ― に祈願を込める。 ― 混交の思想
のの様 = ― にお参りする。 ― を拝む 神仏・日・月をいう。「ののさん」とも(幼)

[神明]しんめい ― の加護を祈る。天地 ― に誓う。 ― 造り(神社建築の一様式)
[祭神]さいじん ― この神社の ― は大国主命(おおくにぬしのみことである) その神社に祭ってある神
[明神]みょうじん 神田 ― 。 ― 様にお参りする。 霊験ある神。 神の敬称
[神祇]じんぎ 祭壇に ― を祭る。天神地祇(ちぎ) 天の神と地の神
[天道]てんとう ― 様もお見通しだ 天地を支配する神。 お天道様。
[天神]てんじん ― 地祇(ちぎ)。 ― 様。 天の神。 「てんしん」とも。 菅原道真(すがわらのみちざね)を祭った神社のこと。 天満宮
[地神] じしん 梵天(ぼんてん)までもきこえ、堅牢 ― 驚くらむとぞおぼえける(平家物語) 地の神。国土の神。
[地祇]ちぎ 天神 ― を祭る。地の神。国土の神。
[鬼神]きしん 断じて行えば ― もこれを避く(不可能と思われることでも、気力を込めて案外やれるものだ)。 
   恐ろしい超人的力を持った神。おにがみ。「きじん」とも。
[魔神]まじん それは―の仕業か。 災いを起こす神。魔の神。「ましん」とも。
[軍神]ぐんしん ―として祭られる。いくさの神。りっぱな軍人として戦死し、祭られた将兵。
[武神]ぶしん 武道をつかさどり、武運を守る神。いくさ神。
[祖神]そしん この社は―を祭っている。祖先を神として祭ったもの
[氏神]うじがみ ―の祭礼。 ―に参る。住んでいる土地の守り神。一門一族の神。
[生き神]いきがみ あの人は―様です。人の姿をした神。徳の高い人をいう。
[女神]めがみ 自由の―像。勝利の―がほほえむ。女性の神。「じょしん」とも。
[鎮守]ちんじゅ ―の森。村の―の神様。その土地を守護する神。
[産土神]うぶすながみ ―を祭る社。その人の生まれた土地の守護神。
[結びの神]むすびのかみ 出雲大社は―といわれる。男女の縁をとり結ぶという神。
[守護神]しゅごしん 氏の―を祭る。国・個人などを災難から守ってくれる神。
[マスコット] ―ガール(人形) 西洋風の幸運をもたらす守り神。
[福の神]ふくのかみ ―の授かり物。 ―が舞い込む。福を授けるという神。

[七福神]しちふくじん ―の乗った宝船。大黒以下七人の福の神。
[大黒]だいこく ―様と因幡の白兎の話。 ―帽子をかぶる。七福神の一。福徳の神とされる。大黒天。
[恵比寿]えびす ―顔になる。七福神の一。商家の神。
[布袋]ほてい ―腹をしている。七福神の一。中国の布袋和尚を神格化したもの。
[寿老人]じゅろうじん ―は頭が長い。七福神の一。長寿を授ける神。
[福禄寿]ふくろくじゅ ―はひげが多い。七福神の一。福・禄・寿の三徳をそなえている。
[毘沙門天]びしゃもんてん 七福神の一。また四天王の一。仏法を守護する。
[弁財天]べんざいてん 七福神の一。インドの女神。弁舌・音楽が巧みで、福徳・戦勝をたらす神。

[弁天]べんてん この社には―様をお祭りしてある。 ―様を拝める。「弁財天」の略。転じて美人のこと。
[道祖神]どうそじん 道端に―が立っている。道路を守護する神。
[貧乏神]びんぼうがみ ―にとりつかれる。人を貧しくさせる神。
[悪神]あくじん 悪鬼・―をおそれる。人を害し、災いを与える神。
[邪神]じゃしん ―のたたり。悪鬼。 人に災いを与える邪悪な神。
[疫病神]やくびょうがみ ―のように嫌われる。疫病をはやらせる神。
[死に神]しにがみ ―がとりつく。人を死に誘うという神。
[山の神]やまのかみ ―の社。山を守りつかさどる神。
[海神]かいじん ―の怒りを鎮める。海の神。「かいしん」とも。
[竜神]りゅうじん ―が雨を降らせる。仏法を守り、雨と水を支配する竜の形をした神。
[水神]すいじん ―様を祭った社。水の神。水難・火災を防ぐという。
[風神]ふうじん 裸形の―の像。風をつかさどる神。「ふうしん」とも。
[雷神]らいじん ユーモラスな―の絵。雷を起こす神。
[荒神]こうじん 台所の棚に―様を祭る。かまどの神。また荒神が家を守るように、陰で守るもの。
[鬼子母神]きしもじん ―の祠(ほこら)。お産と育児の神。「きしぼじん」とも。

[]ほとけ ―が極楽浄土へ導く。 ―を拝む心。知らぬが―。地獄で―に会うような気持ち。
[仏陀]ぶつだ ―の教えを守る。ほとけ。正しい悟りを得た者。狭義では釈迦をいう。
[釈迦]しゃか ―三尊像。 ―に説法。釈迦牟尼(しゃかむに)の略。仏教の開祖。
[釈尊]しゃくそん ―の教えに従う。釈迦を敬っていう語。
[世尊]せそん 香を焚きて―に供奉(ぐぶ)し奉る。この世でもっとも尊いの意から、仏陀・釈迦の敬称。
[如来]にょらい ―様のお迎え。 阿弥陀―。仏の敬称。真如(しんにょ)からこの世に来て教化する意。
[阿弥陀]あみだ ―を信仰する。 ―仏。西方浄土にいて衆生を救う仏。
[弥陀]みだ ―の名号[本願]。 ―を頼む。「阿弥陀」の略。
[薬師]やくし お―様に参る。等身に―仏を作りて(更級日記) 「薬師如来」の略。生命のあるすべてのものの病気を治し、安らかな境地に導く仏の敬称。
[菩薩]ぼさつ ―のような顔。弥勒(みろく)―。仏陀の次の位のもの。徳の高い僧に賜った称号。
[観世音]かんぜおん ―を念じる。千手(せんじゅ)―。菩薩のひとつ。
[観音]かんのん ―に詣でる。十一面[馬頭]―。―開き。「観世音」の略。
[文殊]もんじゅ 三人寄れば―の知恵。知恵の徳をつかさどる菩薩。
[地蔵]じぞう ―顔。六―。「地蔵菩薩」の略。衆生の苦を除き、福利を与える菩薩。俗に旅人や小児を守るといわれる。
[不動尊]ふどうそん 名高き目黒―は運の神なれば。五大明王のひとつ。災害を除き財産を増やすといわれる。不動明王。「不動」とも。
[閻魔]えんま ―様に舌を抜かれる。 ―帳。地獄にいるという大王。
[仁王]におう 山門に立つ―。 ―立ちになる。仏法を守る神として寺門に立っている像。
[四天王]してんのう 帝釈(たいしゃく)天に仕え、仏法とそれに帰依する人々を守護するインドの神。転じて、武将のそば仕える四人の優れた家来やその人の弟子・部下の中で最も優れた四人をいう。
[韋駄天]いだてん ―走り(非常に速く走ること)。仏法守護神の一つ。
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by guminoki77 | 2008-04-11 23:23 | 2) 万葉集 ノート
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